椿堂木工場

家具作家の羽尾さんの工房。羽尾さんはクライアントであり、共同制作者でもある。主要な建具、ロフト梯子は羽尾さんの制作だ。知り合ったばかりの2人のように、住まい手と建物はお互いを知るために時間がかかるものだが、羽尾さんはすぐに建物との距離を縮めていった。羽尾さんにとって自分がつくる家具と同様にこの工房があるのだということがよくわかる。躊躇なく棚を取り付け、工具をひっかけ、自分なりにアレンジを加え、居心地よく、文字通り「自分のもの」にしていった。工房の入り口は通称「駄菓子屋」と呼ばれる小さなショールームを設けた。そこには家具はもちろん、羽尾さんの見立てによるアンティークがおかれ、CDプレーヤーからは耳ざわりのよい重低音のジャズと淹れたてのコーヒーの香りが空間を満たす。丸窓から入る柔らかい光が時間の移ろいを教えてくれる。ここで今日も羽尾さんは丁寧に家具をつくっている。

椿堂:http://www.tsubakidou.com/
写真:砺波周平 http://tonami-s.com/